かんてき

分類
ノ内細工

逝る年を労い新年を迎える準備に、と。年の瀬には皆で集まって餅つきをする。せわしく餅米を蒸し、さわがしく餅をつく。熱燗なんかが近くにあっても良い。どうもこう体を動かしていると、つくづく餅つきは冬の風物だと思う。霜のついた地面に、かんてきを下ろし、薪を焚べる。じねんと暖をとりに人が集まり、同時に米を蒸している。臼にうつしたばかりの蒸し上がりの米はシラフでは触れない。冬の、外の、大勢の中で掛け声と一緒に触る。そこらじゅうに湯気が立っている。そういう景色の中に毎年、自分の身を置き続けている。

ひと段落するとやはり寒い。身を小さくしながら、またかんてきの周りを人が囲む。

かんてき
上方で七輪や焜炉のこと。名前の由来は知らない。

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